PC上で行われる人手作業を代行する省力化・省人化のためのツールとして脚光を浴びてきたRPAであるが、コロナ禍の長期化や国内企業におけるデジタル化の進展などを受けて、昨今ではDXを念頭に置いた自動化ツールとしての色彩が増してきている。本稿では、RPAツールの進化の方向性を機能面から紹介するとともに、これからDXの視点でRPAを活用しようとするユーザー企業が押さえるべきポイントについて解説する。
ここ数年、現場主導の業務効率化を支援するための手段として注目され、市場規模を順調に拡大してきたRPAであるが、その位置づけは、デスクトップPCを使って従業員が手作業で実行してきた既存業務を代行するという、いわば省力化・省人化のための道具であった。
しかし、ここにきて、DXの文脈でRPAの利用を検討する企業・団体が増加している。つまり、ビジネス環境の変化やデジタル化の進展によって新たに生じる業務を自動化し、変革を加速させるための道具として認識されるようになってきた。
むろん、その背景にコロナ禍の影響があることは疑いがない。地方自治体では感染状況の把握、各種支援金の支給、ワクチン接種などで、旅行業では突発する予約/キャンセルの処理などで、小売業では急激な需要の変動に伴う受発注処理などで、それぞれ予期しない大量の作業が発生した。一般企業でも、顧客との接点や社内の情報共有がオンライン主体となったことで、日々やり取りされるデジタルデータが急増した。こうした目に見える変化は、広範にわたる自動化の必要性を経営レベルに認知させる契機となっている。
これからのRPA活用を考えるうえで、急速に進むデジタル化への対応は無視できないテーマである。