コロナ禍における在宅勤務を実施していくなかで、多くの企業が電子契約サービスの導入または導入検討を進めている。さらに、契約書と同様に紙での印刷、押印、郵送の文化が残る請求書に関しても、電子化を検討する企業が増加している。本稿では、請求書の電子化に深く関連する電子インボイスの普及に向けた政府および民間推進協議会の動きと企業に求められる取り組みについて述べる。
ITRが2021年5月に国内企業に対して実施した『電子契約サービス利用実態調査』において、何らかの形態で電子契約システム/サービスを自社で導入している企業は、53%と過半数に上った(ITR Review 2021年8月号『ITR User View:電子契約サービス利用実態調査』#R-22108U)。
こうしたなか、コロナ禍の影響を受け、契約書と同様に、取引先との紙でのやり取りのために出社を余儀なくされ、非効率な業務として浮き彫りになったのが請求書である。前述の調査において、電子契約システム/サービスを自社で導入済み/導入予定と回答した企業に尋ねたところ、「電子見積書、電子請求書など対象となる社外取引文書の拡大と統合管理」に取り組んでいる企業は約3割、今後取り組む予定と回答した企業も3割弱と、合わせて5割を超える結果となった(図1)。
また、もう1つの設問の「電子帳簿保存法に対応する文書管理システムとの連携」については、請求書の電子化も電子帳簿保存法と密接な関係にある。すなわち、契約書の電子化を進める企業の半数以上では、請求書の電子化に取り組むとしており、また、2022年に改正される予定の電子帳簿保存法に対応するシステムとの連携に取り組むことがわかった。