会社と社員の目標共有の強さを表す「従業員エンゲージメント」が、企業の重要な経営指標のひとつと捉えられ、注目を集めている。これに伴い、人材管理システムにも「従業員エンゲージメント」の測定および向上を支援する機能が追加されるようになった。本稿では、その代表的な3つの機能を解説する。
今や従業員エンゲージメントは企業にとっての重要な経営指標であり、企業が自ら測定する必要がある。従業員エンゲージメントの測定には従業員アンケートが使用されるが、従来のアンケートのやり方では、従業員エンゲージメントを測定することはできない。なぜなら、従来の従業員アンケートの目的は、従業員満足度の測定にあるからである。
従業員満足度が、主に、給与、役職といった自分に対する待遇や、仕事の内容が自身のスキルや興味に合っているかといった職務内容に関する指標であるのに対して、従業員エンゲージメントは、自社の経営理念への共感や企業文化への愛着、さらには、組織への貢献意欲といったものを示す指標となる。したがって、従業員エンゲージメントを測定するには、満足度を測るものとは異なるアンケートの設問内容および実施頻度で実施する必要がある。
設問については、代表例として、Gallup社が定義した「Q12」と呼ばれる12の設問があげられるように、少数の単純化された設問で構成することが望ましい(図1)。
実施頻度については、従来の従業員満足度アンケートが年度または半期に1回であったのに対して、従業員エンゲージメント測定は週または月に1回が理想とされている。このように、高頻度で従業員の意識調査を行う方法は「パルスサーベイ」と呼ばれている。「パルスサーベイ」では、設問数を10項目前後に絞り、質問内容も全項目を数分で回答できるように単純化し、短い周期で定期的にアンケートを実施する。
従業員エンゲージメントが注目され始めて以降、「パルスサーベイ」や従業員同士で感謝の気持ちやボーナスを送り合う「ピアボーナス」などの機能を持つ従業員エンゲージメントシステムが数多く登場しているが、最近では、代表的な人材管理システムの多くが「パルスサーベイ」の機能をサポートするようになっている。