コロナ禍のなか、ERPをはじめとするエンタープライズシステム市場の成長性に対するインパクトが注目されている。本稿では市場調査レポート『ITR Market View』のエンタープライズシステム領域を対象とした2021年版の発刊に先立ち、市場概況と今後の市場展望について述べる。
ITRでは、エンタープライズシステムに関する市場について毎年市場調査を行っている。2020年は、ERP(4業務分野)、人事管理、給与管理、就業管理、人材管理、LMS、従業員エンゲージメント、連結会計、経費精算、予算管理の10市場を対象に調査を行いレポートを発刊した。本年はこれに、労務管理、IBP(Integrated Business Planning)、オンライン面接を新たに調査対象に含め、図1のように4つの『ITR Market View』を2021年4月以降に順次発刊する予定である。
『ITR Market View:ERP市場2021』のレポート構成は2020年から変化はないが、労務管理を含む従業員の情報や手続きを管理する一連のシステムを『ITR Market View:人事・給与・就業管理市場2021』として再編する。そして、従業員の働き方や育成を主に支援するシステムを『ITR Market View:人材管理市場2021』に、ヒト・モノ・カネに関する計画・予算、プロジェクトなどを管理するERP周辺のシステムを『ITR Market View:予算・経費・プロジェクト管理市場2021』に集約する予定である。なお、プロジェクト管理は『ITR Market View:開発支援市場2013』以来の調査となる。
新たに調査対象とした労務管理市場とIBP市場はいずれも成長性が高く、特に労務管理市場は活況である。また、両市場とも売上げに占めるSaaSの割合が極めて高い、エンタープライズシステムにおける新たなソリューション分野であり、企業がコロナ禍で業務を継続していくうえで、その重要性が顕在化したのではないかと思われる。ITRでは、今後もこうした市場の変化を見逃すことなく、調査対象やレポートを充実させていく方針である。