国内LMS(Learning Management System)市場は、人材育成の強化、DX推進、働き方改革などを背景にここ数年高い成長率を示しているが、成長の内訳を見ると、大部分はSaaSで提供されるLMSの市場拡大によるものである。本稿では、LMS市場の最新動向としてクラウドシフトの状況とSaaS型LMSの特徴について解説する。
ITRが行ったLMS市場の最新調査を見ると、パッケージとSaaSに分類した提供形態別の売上金額は図1のように推移している。
これによると、SaaSの占める割合は、2017年度の80.4%から、2019年度(予測)は84.7%へと増加しており、クラウドシフトがさらに進んでいることがわかる。
また、2019年度の市場規模は前年度比で22.0%増と好調であるが、提供形態別に見るとパッケージは同2.7%増とほぼ横ばいであるのに対して、SaaSが同26.3%増と高く、国内LMS市場の成長を牽引すると予測している。
この傾向は、IT市場全般に見られるクラウドシフトの流れに沿っているだけではなく、昨今は働き方改革の一環として、リモートワークの進展とともに、企業内研修の実施形態が従来の集合研修を中心としたものから、いつでもどこでも受講できるeラーニングを中心としたものに変化していることにも起因している。また、今回のコロナ禍による在宅勤務(テレワーク)の急増は、この傾向に拍車をかけると予想される。