多くの企業でデジタルトランスフォーメーション(DX)への取り組みが活発化しているが、その推進過程でさまざまな課題が浮上してきている。特に、事業部門の関わり方や、本番稼働にあたっての運用体制など、関係する部門の役割分担に関する課題が散見される。本稿では、案件特性と推進プロセスに応じた各組織の役割を明確化するためのアプローチを紹介する。
多くの企業では、DXを推進するための組織体制を整備してきている。ITRが実施した「IT投資動向調査2020」では、DXを推進する専任部門を設置している企業が15%、専任部門は存在せず、既存部門がDX推進を担当している企業が27%、専任部門は存在せず、部門横断型のプロジェクトチーム(タスクフォース)がDXを推進している企業が19%と、その合計は6割を超えている(ITR Review 2020年1月号「IT投資の方向性を左右するデジタル変革」#R-220011)。
一方で、DXに関わるプロジェクトは、事業の最前線となる現場(工場や店舗など)、営業・マーケティング部門、IT部門など多くの部門の関与を必要とするものも多く、組織体制に関わる以下のような課題に直面する例が散見される。