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【R-219082_6962705767】People Analyticsとは何か

作成者: 株式会社アイ・ティ・アール|Sep 21, 2023 12:21:04 AM

就業の形態や労働環境の多様化が進むなか、質の高い人材を求める企業のニーズはこれまで以上に強くなっている。人事部門に問われているのは、従業員個人の特性や能力を見極めつつ、適所適材に配置するための仕組みづくりである。従来とは異なる視点から人材データを分析・管理することで、戦略的な人材活用の選択肢を広げることができるだろう。

人事システムにおける人材活用高度化の経緯

人材の高度活用や最適化を図るための取り組みは、決して新規性の高いものではなく、これまでも多くの手法やシステムが検討されてきた。HRMS(Human Resource Management System)、あるいは単にHRと略されて普及した人的資源管理の狙いは、制度的な雇用契約や労務中心の人事管理から、人材を資源として計画的に管理することにあった。その後、従業員を資源(Resource)から資産(Capital)に置き換えて重要性を格上げするかのようにHCM(Human Capital Management)が登場し、自己申告や多面的業績評価、報酬管理、人材育成などの機能が強化され、汎用的なパッケージに組み込まれてきた。さらに、ハイパフォーマー(パフォーマンスの高い人材)の属性やデータに着目したコンピテンシー管理や、戦略性の高い人材活用促進を支援するワークフォース管理があり、この流れがブーム化したタレント・マネジメントと呼ばれる人材管理へとつながってきた経緯がある(ITR Review 2012年9月号「戦略人事とタレント・マネジメント」 #R-212092)。

振り返ってみれば、人事システムを高度化する取り組みは、システムの機能を充実させることと並行して、あるいはそれ以上に、人材データを有効活用するアナリティクスにシフトしてきたといってよいだろう。とはいえ、一般的に、人事部門におけるデータ分析や活用のレベルは、生販在計画、需要計画、予算管理といった業務分野に比べれば、利用者の裾野の広さという点において限定的であったのは否めない。詳細な人事データは、基本的に参照者を限定することが一般的だからである。また、精緻なアナリティクスを重視した企業がある一方で、簡潔ながら企業戦略に合致した人材モデルやそのレポーティングで戦略的な人事を目指した企業もある。求める人材像が企業や産業によって異なることは当然であり、人事部門の位置づけや組織体制や企業文化などによって左右されてきた部分が大きいといえるだろう。