多くのコンタクトセンターは、顧客接点の増加に伴い顧客対応業務が複雑化する一方で、人材の採用や育成、コスト削減などの課題に直面している。こうしたなか、PBX/CTIを中核としたコンタクトセンターソリューションのクラウド化が進んでおり、なかでもAmazon Web Services社のAmazon Connectへの注目が高まっている。
インターネットが登場する前は、コールセンターと呼ばれる部門や事業所が、直接的な顧客接点となるユーザーサポートや質問・苦情の受付、注文の受付や販売などの業務を電話対応で担ってきた。その後、インターネットやスマートフォンなどの普及に伴い、Webサイトのフォームや電子メールで寄せられる問い合わせへの対応も担うこととなった。さらにはソーシャルメディア上に書き込まれるコメントへの対応や、近年導入が増えているチャットの活用など、コールセンターは複数の顧客チャネルに対応するコンタクトセンターへと進化してきている。そこで、ITRでは2019年4月、コンタクトセンターを運用中、または立ち上げ予定の国内企業において、カスタマーサポート業務や関連ソリューションの選定に携わる個人を対象に、コンタクトセンター関連ITソリューションの利用状況および今後の移行計画に関する意識調査を行った(有効回答:328件)。
まず、コンタクトセンター関連ITソリューションの利用状況を見ると、企業が最も利用しているのは「通話録音」で約6割を占め、次いで「PBX/IP-PBX」が半数強となった(図1)。そして、「CTI(IVR、ACD、通話録音など)」および「メール問い合わせ専用応対システム」がともに47%となった。一方、近年導入が進んでいる「チャットシステム(有人応対)」および「チャットボット(AI/シナリオベースの無人応対)」は順に35%と26%であった。現時点では依然として電話とメールが中心であることが見てとれる。ただし、今後の利用予定を含めると、「PBX/IP-PBX」および「CTI(IVR、ACD、通話録音など)」「メール問い合わせ専用応対システム」が7割弱、「音声認識」「テキストマイニング(お客様の声の分析)」「チャットシステム(有人応対)」「チャットボット(AI/シナリオベースの無人応対)」も6割前後となり、コンタクトセンターへの進化において、マルチチャネル対応や音声のテキスト化、テキスト解析、チャットボットなどのAIを活用するシステム/サービスの利用が拡大してきていることがうかがえる。