「AI・データの利用に関する契約ガイドライン」における、データ共用型契約の法的論点を取り上げる。データ共用型契約とは、プラットフォームを利用したデータの共用を目的とし、集約・保管したデータや、加工・分析を行ったデータを提供するケースが該当する契約類型だ。本稿では企業がプラットフォーム事業者として参加者とデータ共用型の契約を結ぶ場合に念頭に置くべき事項について論じる。
データ活用の重要性が叫ばれ、プラットフォーム構築の推進やデータに関する規制の整備など、各所で活発な動きが見られる。そうしたなか経済産業省は、2018年6月15日に「AI・データの利用に関する契約ガイドライン」(以下、「ガイドライン」)を公表し、このデータ編で2017年5月に公表していた「データの利用権限に関する契約ガイドラインVer1.0」の内容を拡充する形式で、「データ提供型」と「データ共用型」を改めて定義した。前者の契約に関する法的論点などについては前号(ITR Review 2019年2月号「データ提供型契約の法的論点」 #R-219025)で解説した。本稿では、「データ共用型契約」を解説するとともに、企業がプラットフォーム事業者としての取り組みを開始するにあたり、契約において留意すべき点を説明する。