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【R-218124_6962642289】ビジネスチャットの価値

作成者: 株式会社アイ・ティ・アール|Sep 22, 2023 12:01:01 AM

コラボレーションの分野において、近年、企業の間で注目を高めているのがビジネスチャット・ツール(業務で利用することを目的に設計されたチャット・ツール)である。インターネット黎明期から存在する「チャット」の機能がなぜ今、企業の間で注目されているのであろうか。その根底には、リモートワークの普及によって失われつつある「場」の創出という大きなテーマがあると考えられる。

ビジネスチャットが注目される3つの背景

近年、組織内のコミュニケーションを円滑化するための手段として、ビジネスチャットへの注目度が高まっている。コンピュータを活用したコミュニケーション手段が豊富に存在するなかで、なぜ今「チャット」が注目されているのであろうか。その背景には大きく以下の3つの事情がある。

1つ目は、既存の主要なコミュニケーション手段である電子メールの代替手段の必要性が高まっていることがある。電子メールは、相手のメールアドレスさえ知っていれば誰でも利用できる連絡手段であるが、メール・トラフィックの継続的な増大により、タイムリーな情報伝達がしにくくなっている。また、近年は社内関係者を装って標的型のマルウェアを送り付けるサイバー攻撃が頻発していることで、社内の日常的な情報共有手段としてメールを利用することのリスクも指摘されるようになってきた。そのため、不用意なサイバー攻撃を避けるためにも社内向けに特化した別のツールが必要との認識が広がりつつある。

2つ目には、モバイル環境(とりわけスマートフォン)の普及があげられる。従業員にスマートフォンを支給・貸与する企業が増加しているが、その機動性を十分に発揮できていないと悩む企業は少なくない。また、プライベートではLINEやFacebookメッセンジャーなどのチャット・サービスの利便性に慣れ親しんでいる人が多く、ビジネスの現場でもスマートフォンに最適化された軽量のコラボレーション・ツールを求める声が強くなっている。

3つ目は、自動で動作する小さなプログラム(ボット)の活用により、機能を追加したり、他システムと連携したりできるツールが登場したことである。これは、ITエンジニアの間で人気を集めるSlackが先鞭を付けたものだが、現在は似た仕組みを採用するツールも増えている。既存システムから発せられるイベント、アラートなどの情報をボットユーザーによって自動投稿させるといった簡単な用途から、メンバー間のスケジュール調整や勤怠管理を行うボットを独自に開発するといった取り組みが、一部の先進ユーザーの間で行われている。