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【R-218044_6963142329】エンドポイント管理の最前線

作成者: 株式会社アイ・ティ・アール|Sep 23, 2023 5:37:49 AM

従業員の利用デバイスの多様化が進むなかで、その管理に頭を悩ませる企業は依然として少なくない。そうした企業では、散在する多様なデバイスを一元的に管理できる基盤技術の進化が強く望まれている。スマートフォン、タブレットに加えて、PCやIoT関連デバイスなどの管理にも対応したUEM(Unified Endpoint Management:統合エンドポイント管理)ツールは、課題解決に向けて重要な役割を担うと見られる。

課題となるエンドポイント管理

スマートフォン、タブレットの普及拡大により、企業の従業員が利用するエンドポイント・デバイスの多様性は飛躍的に高まった。ITRが実施している「IT投資動向調査」によれば、2017年にスマートフォンを導入済みとした企業の割合は半数を超える57%に上っている。導入率の伸びは沈静化しつつあるが、注目されるのは、導入済み企業のうち、「今後も拡充予定」とする割合が大きいことである(図1)。これは、組織内における台数の拡大が今後も継続するであろうことを示している。ここにきて「働き方改革」が企業の主要課題のひとつに位置づけられるようになったことも、デバイスの多様化傾向を後押ししていると見られる。

図1.国内企業におけるスマートフォンの投資動向

出典:ITR「IT投資動向調査2018」

その一方で、増え続けるデバイスを効率的に管理するための基盤整備は、企業の間で必ずしも進んでいるとはいえない。同じ調査で、「EMM(エンタープライズモバイル管理)」に対する投資動向を見ると、導入済みとした企業の割合は全体のわずか20%にとどまっており、スマートフォン導入企業の半分にも達していない。しかも、ここ3年にわたり、EMMの導入率はほとんど伸びが見られていないのである。インベントリ情報の収集、リモートロック、リモートワイプといった基本的なデバイス管理機能が、運用管理ツールやコラボレーション・スイート、あるいはキャリアサービスの一部として無償または安価で提供されていることもあるが、「スマートフォンやタブレットの管理にスタッフの人手を割くことができない」との理由でEMMツールの導入に二の足を踏むIT部門長も少なくない。多くの企業では、スマートデバイスの適正な活用はエンドユーザーの自助努力に委ねられているのが実情である。

スマートデバイスは、頻繁なOSアップデートやアプリケーション、コンテンツの追加・削除など、導入後の運用フェーズで利便性と安全性を維持することが求められる。したがって、デバイスを適切に管理できないことは、セキュリティが担保されない状況が放置されるだけでなく、有効活用をも阻害する結果になることをあらためて心に留めておく必要がある。