BIの新しい概念として、セルフサービスBIが登場し導入が進展している。しかし、既存BIを単純に置き換える導入形態では、セルフサービスBIのメリットを活かすことはできない。本稿ではセルフサービスBIの特徴を解説し、セルフサービスBIを効果的に導入するためのポイントを紹介する。
セルフサービスBIの定義をシンプルに表現すると「データ分析の専門家ではない一般のビジネスユーザーが、IT部門の支援を受けることなく、非定型なデータの分析を行うことのできる環境」ということになる。このシンプルな定義のなかに、今までのBIとは異なるセルフサービスBIの3つの特徴が含まれている(図1)。
従来型BIでは、分析軸、計算値およびクロス集計表や棒グラフといった表現形式があらかじめ決められていて、一般のビジネスユーザーは、与えられた分析結果の中からビジネス上の判断を行うことが求められている。一方で、一部のビジネスユーザーは、ビジネス上の新しい課題に対処するために、従来型BIでは提供されていない分析軸、計算値、表現形式、あるいは従来型BIでは入手できない種類のソースデータ(分析の元となる生データ)を必要としており、これらを提供してくれるのがセルフサービスBIである。
ビジネスユーザーが、IT部門にリクエストすることで、新たな分析軸、計算値、表現形式、あるいは新たな種類のソースデータを手に入れることは理論的には十分可能であるし、現実解として実際に行われているプロセスでもある。しかし、このやり方では時間と工数がかかり、ビジネス上の要求に追いつけないという問題がある。セルフサービスBIでは、これらの作業をビジネスユーザーが自分自身で行うことで時間と工数の問題を解決することが期待されている。