金融業がデジタルビジネスを推進する中、IT人材の確保・育成は喫緊の経営課題となっている。経営層は積極的にこの取り組みに関与し、IT人材確保・育成へ向けた態勢を早急に整える必要がある。本稿では、金融業のIT人材の配置について「IT投資動向調査2018」の調査データを参考にしつつ、人材確保と育成の計画を策定することを推奨する。
ITを活用し収益の拡大を目指すデジタルビジネス推進の波が金融業に広がりつつある。金融機関は2015年頃から、相次いでデジタルビジネス推進組織を新設するとともに、既存のIT部門についても増強を図るべく、優秀なIT人材の確保・育成を進めてきた。2017年8月に実施した「IT投資動向調査2018」のIT部門の人員の増減予定を見ると、「金融業全体」では2018年度にIT部門の人員を増員とする企業の割合は減員とする企業の割合より10ポイント以上上回り、増加基調となった。より詳細な業種別で見ると、最も増員する企業の割合が高いのは「証券」で24%、次いで「銀行」および「損害保険」が18%となっている。この結果からも、金融業はIT人材の確保・育成に積極的な姿勢がうかがえる。