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【R-218024_6962525998】システム開発の契約の在り方

作成者: 株式会社アイ・ティ・アール|Sep 23, 2023 12:49:11 AM

契約書の各条項における文言の扱いや解釈は状況により異なる。ただし、システム開発に関する契約が訴訟に発展した場合に備えて、ユーザー企業はあらかじめ対策を講じることが重要だ。本稿では、システム開発の契約の在り方と、損害賠償の条項のトレンドについて論じる。

損害賠償金額はなぜ大きくなるのか

2017年12月、京都市は国民健康保険や住民基本台帳などを扱う基幹系システムの刷新プロジェクトを委託していたシステムズを提訴した。訴額は約8億円、内訳はすでに支払い済みの刷新費用の返還と、稼働遅延に伴う損害賠償金である。一方、システムズ側もすでに同年11月に京都市に対し2017年4~7月の作業費用として約2億円の未払い金の支払いを求める提訴をしたと報じられている。これは、発注側と受注側で主張が全く異なる代表的な事例であり、システムの刷新プロジェクトにおける契約の難しさを考えさせる案件として社会の注目を集めている。このようなシステム開発に関する訴訟で支払い請求額が高額になる根本的な理由は、契約の在り方にある。