2020年に向けて、標的型攻撃を含めサイバー攻撃に遭うリスクが増加すると予測され、国内企業はリスクの移転などの対策を講じる必要がある。本稿ではリスク移転のひとつであるサイバーセキュリティ保険に焦点をあてて市場動向を紹介し、現状の課題と留意点について考察する。
2020年の東京オリンピックへ向けて国内企業に対するサイバー攻撃がより拡大すると予測されるなか、サイバーセキュリティ保険市場が堅調な伸びを見せている。日本ネットワークセキュリティ協会による調査では、2015年度の市場規模が118億円に対して2016年度に135億円に拡大し、2017年には156億円市場になると予測している(図1)。しかし、サイバーセキュリティ保険は、自動車保険のように、提供事業者間でリスクの算定や等級などが標準化されておらず、補償内容にもバラツキがあり投資対効果の判断がつきにくいため、加入に際して躊躇している企業も多い。