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【R-217094_6963032894】グローバルシステム再考

作成者: 株式会社アイ・ティ・アール|Sep 23, 2023 7:40:09 AM

先行する企業が、グローバルシステムの見直しや刷新に着手し始めている。拠点ごとに単独で導入したシステムへの依存度が高い企業は、グローバルおよび域内で共通性の高いシステムへと刷新すべき再考期の段階にきている。

国内企業のグローバル化とERPによるグローバルシステムが登場するまでの経緯

かつて、グローバルシステムの導入は、国内大企業やグローバル企業だけが検討するテーマであったが、昨今では中堅企業でも欠かせざる仕組みとなってきている。ここで、初めに国内企業の海外進出の歴史から簡単に振り返ってみよう。国内企業は、主に1970年代から海外への進出を本格化させてきたが、当時の目的は輸出による販路拡大や、その前段のマーケティング活動の一環であった。その後徐々に、海外で生産し海外で販売していくようになり、1980年代後半から1990年代前半の円高による輸出競争力の低下を背景に、本格的な海外生販拠点を展開する段階へと変遷してきた。この段階から、現地での販売、生産を支援する本格的なシステムの導入が求められるようになってくる。ただし、ここまでは米国、欧州といった先進国が主な進出先であり、また導入するシステムもあくまで拠点単独のシステム導入が中心であった。稼働までの納期短縮やコスト低減からパッケージを選択する場合も、現地で主流のパッケージを選定し、現地のSIerが導入するスタイルが一般的であった。

このようなことから、米国、欧州などの地域内で同じパッケージ製品によるシステムを導入していたとしても、そもそも導入国によりSIerが異なるといったこともあり、システムの標準化や共通化は重視されていなかった。また、まだ本格的なERPパッケージが普及する前の時代では、販売、生産、会計などの主要業務それぞれに異なるパッケージを、ベンダー固有のクローズドなインフラ上に導入することが一般的でもあった。しかし、1990年代初頭にオープンシステムが提唱され、時を同じくして主要業務を統合したERPパッケージが登場してからこの状況は一変する。グローバル企業は、1995年頃から、ERPによるオープンシステムで拠点単位のクローズドなレガシーをリプレースするだけでなく、複数拠点を横断するグローバルシステム構築/展開の研究を本格化させていったのである。