前編では大手ベンダーによるデジタルマーケティングツールの買収による収斂よりも、新興ベンダーによるツールの増加速度が上回っていることによる製品選定の難しさについて触れた。後編では、自社のデジタルマーケティングツールの導入・移行にあたり、どのように全体像を整理して検討すべきかについて述べる。
前編では、マーケティング関連ソリューション/サービスの中でも、近年、注目度が高いマーケティング・オートメーション(以下、MA)の導入における課題について述べた(ITR Review 2017年5月号「マーケティング関連IT動向(前編)」 #R-217051)。課題の上位にあげられた「マーケティング関連のITに長けた人材が社内にいない」ことは改善されつつあるが、デジタルマーケティングツール業界では、大手ベンダーによるツールの買収と機能連携・統合が進んでいるものの、参入企業の増加により、製品/サービス選択の複雑さが増しており、デジタルマーケティングツールに関する知識・経験を習得がより困難になっている。前編で紹介したChief Marketing Technologist Blogの「Marketing Technology Landscape」の2016年版では3,874ソリューションであったが、2017年版が発表され、5,381のソリューションへと拡大した。
近年、投資意欲が高まっているMAやDMPなどのデジタルマーケティングベンダーは、Oracle社やIBM社といった大手ベンダーに次々に買収されている(図1)。古くは、Adobe社は、2009年にWeb解析分野のリーダーであったOmniture社を買収しAdobe Analysisとして提供している。MAの領域に至っては、B2B向けとB2C向けとで複数のMAベンダーを買収している。これら主要ベンダーは、自社開発および既存のツール群との機能連携・統合を進め、マーケティング・プラットフォームとしてクラウドでの提供を積極的に進めている。最近では、2016年11月にAdobe 社がオンライン動画広告プラットフォームのTubeMogul社を買収しており、今後はDSP(Demand-Side Platform)やRTB(Real-Time Bidding)などの広告自動取引プラットフォームをはじめとした、広告系ITベンダーの買収とさらなる機能統合が進むとITRは予想している。