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【R-217051_6963054872】マーケティング関連IT動向(前編)

作成者: 株式会社アイ・ティ・アール|Sep 23, 2023 11:57:23 AM

マーケティング関連ITへのIT部門の関与が増えるなか、この分野の知識・経験が豊富な人材の確保は多くの企業にとって課題となっている。自社のマーケティング関連ITの導入における知識向上に向けて市場の全体像を整理し、導入検討時のポイントを前編と後編に分けて整理したい。

MA導入/運用時の課題

IT部門のマーケティング関連ソリューション/サービス導入における関与が増加している。近年、最も注目が高かった統合マーケティング管理(マーケティング・オートメーション:以下MA)に関しては、2016年の調査において、情報システム部門、またはIT担当者が主導している企業が約4割に達した(ITR Review 2017年4月号「顧客獲得のためのデータのインとアウト」 #R-217045)。また、2015年の調査結果では、MA導入または運用上の課題としては、「マーケティング関連のITに長けた人が社内にいない」が最多で18.3%であった。

そこで、ITRでは2017年3月にマーケティング関連ITのユーザー動向について最新の調査を行った。前述のMA導入または運用上の課題に関する結果を2015年と2017年で比較したものが図1である。ここでは、「導入済み/導入予定」と「導入未定/予定なし」の企業とに分類して傾向の違いを見てみる。

まず、「導入済み/導入予定」の企業における2015年と2017年の調査の違いに目を向けると、2015年に19.5%で最多であった「マーケティング関連のITに長けた人が社内にいない」が2017年で4.9ポイント減の14.6%となった。次に多かった「マーケティングのIT化予算が少ない」は、2017年では1.5ポイントしか減少しておらず、さらに、「会社全体のマーケティングを統合的に見る人が社内にいない」も、僅か0.6ポイント減の14.0%となった。これらの傾向をまとめると、マーケティング関連ITの知識を有する人材への課題は解決されてきているが、全社横断してマーケティングを管理する人材、およびそれに伴うシステム/サービスの予算化での課題は、ほぼ解決できていないことがうかがえる。

図1.マーケティング・オートメーション導入/運用時の最大の課題(単一回答)

出典:ITR 「ITR Cross View:マーケティング管理市場の実態と展望2015/2017」を基に作成

次に、「導入未定/予定なし」の企業について見てみると、最大の課題/障壁となっているのは、「会社全体のマーケティングを統合的に見る人が社内にいない」ことであり、2015年からの減少幅も小さく、状況が改善されていないことがうかがえる。また、2番目に多く選択されたのは「導入効果が見込めない」で19.0%と2015年から3.5ポイント上昇した。一方、「マーケティング関連のITに長けた人が社内にいない」および「マーケティングのIT化予算が少ない」に関しては、導入済み/導入予定の企業を下回る選択率となっている。これらの結果から、マーケティングに関する課題を全社的な視点で検討し、導入効果を的確に判断する体制が整っていなければMAの導入には踏み切れないことが読み取れる。