安倍政権が重要政策に掲げる「働き方改革」では、長時間労働対策が中心的な課題としてあげられている。企業ではテレワークや在宅勤務など柔軟な労働環境の実現へ向けた取り組みが始まっているが、今後は従業者だけでなく、管理者側もまたIT武装が必要である。本稿では、変形労働時間制を例に引きながら、次世代の就業管理のあり方を考察する。
広告代理店に勤務する社員の過労死自殺を受けて、国内企業の間で従業員の長時間労働対策が活発化している。2017年に入ってからは、大企業を中心に具体的な取り組みも続々と報道されるようになった。そうした取り組みを見ると、大きく「退社時間の繰り上げ」「休暇の適正取得」「労働時間の弾力化」のいずれかの方向性で対策が取られている(図1)。長時間労働の元凶とされる「36協定(法定労働時間を超えた労働に関する労使協定。労働基準法第36条に規定されている)」の見直しが現実味を帯びるなか、大手企業がいよいよ労働環境の見直しに本腰を入れ始めたことが見てとれる。