IoTによって、あらゆるモノがインターネットに接続することは、デジタルイノベーションにつながる新たな価値を生み出すと考えらえている。しかし、同時にサイバー・セキュリティのリスクが高まる可能性もある。本稿では、自動車を例にサイバー・セキュリティの現状と、対策への取り組みの重要性を示す。
IoTは、あらゆるモノがインターネットに接続されることを意味している。モノがインターネットに接続されることで、新たなバリューチェーンを生み出す。例えば、モノ自らの状態や環境をモニターすることによって、新たな利用方法やサービスが生み出される。また遠隔操作が実現されることで、これまで不可能であったモノの高度な集中管理や機能拡張が可能となる。さらに複数のモノやデータを組み合わせ連携させることでシステムとしての新たな価値を提供することも可能となる。まさに、パソコンやスマートフォンの登場で起こったようなビジネス変革があらゆる分野で期待されている。
しかし、インターネットに接続することは良いことだけとは限らない。そこにはサイバー攻撃という新たなリスクが発生することを意味する。パソコンやスマートフォンさらには企業システムがサイバー攻撃を受け、個人情報や機密情報が漏洩したり、機器が利用できなくなったりすることはもちろん大きな損害であるが、直接生命に危険が及ぶことはないだろう。しかし、インターネットに接続された自動車が走行中にサイバー攻撃を受けた場合は、直接生命の危機につながることが考えられる。つまり、IoTではこれまで以上にセキュリティへの対策が求められることを意味する。