米国から始まった委託先管理の専門組織であるVMO(ベンダー・マネジメント・オフィス)を設置する潮流は、委託先依存度が高い国内においてはどのように受け入れられてきているのか。VMOを設置している企業と設置していない企業では、委託先管理における課題意識にどのような差があるのかについて、調査結果を基に国内大企業の委託先管理の実態を分析する。
米国では90年代後半から、システムのオープン化に伴ってマルチベンダー方式を採用する企業が増加してきた。そのため、ベンダーの委託先管理などを専門に担当する組織であるVMOを設置し始めた。2006年頃には、日本でも専門部門または兼務としてVMOの設置を検討する企業が現れ始め、委託先を集中的に管理する潮流が生まれた。
システム開発を自社IT部門で行う企業が多い米国に比べて、日本企業では委託先依存度が高いことから、VMOの設置意義がより高いといえる。また、VMOを設置する目的や期待する機能は、日本独自に進化を遂げてきている。そこで、本稿では「ITにおける委託先管理の実態」に関する調査結果の中から、「VMOの設置」と「VMOの課題」にテーマを絞って分析する。