部門横断的なプロジェクトでは、IT部門は参画するだけにとどまっている企業が多い。しかし、企業全体を俯瞰して見ることができ、プロジェクト推進の経験豊富なIT部門こそが力を発揮すべきである。本稿ではIT部門の部門横断的プロジェクトへの関与方法を考察し、そのあり方について提言を行う。
部門横断的プロジェクトでは、通常の組織体制よりも効果的に課題を解決することや、創造性に富むアイデアをまとめることなど、その活動目的は多岐にわたる。また、部門横断的プロジェクトは、主管部門が目標を達成したい業務について、複数の部門に参画してもらうかたちで推進することが多い。したがって、主管部門がプロジェクトマネージャーを担当するプロジェクトと見ることができる。部門横断的プロジェクトは、通常のプロジェクトと同様に体制を明確化する必要があり、プロジェクトマネージャー、プロジェクトマネージメントオフィス(PMO)、参画部門の役割を定義することが重要となる。
部門横断的プロジェクトにおけるPMOは、プロジェクトを成功させるためのキーマン的な存在であり、単に事務手続きや参画部門との調整を行うことが任務ではない。また、参画部門のなかにIT部門が入っているのは、最終的にシステム化する部門横断的プロジェクトが多くあるからであり、システム化をゴールの1つとして設定する場合は、プロジェクトの編成当初からIT部門が参画することが望ましい。