IT部門にとって社内ユーザーは顧客である。顧客満足度の向上は、ユーザー企業のIT部門、情報システム子会社、ITベンダーに共通する重要事項といえる。多くのIT組織が顧客満足度向上を方針として掲げる一方で、そのための活動がプロセスとして定着しておらず、掛け声だけで終わっている例も少なくない。
顧客満足度の向上は終わりのない課題といえる。顧客満足度向上を組織目標の1つとして掲げて継続的な活動を行っているIT部門は多く、ITRでも顧客満足度調査の設計や満足度向上のための施策立案などの支援を多数行っている。顧客満足度の向上が、IT部門のビジネス貢献度を高める方策の1つであることに疑う余地はないが、IT部門長や活動の推進者からは以下にあげるような問題も指摘されている。
こうした問題は、顧客満足度向上のための活動が体系化されておらず、場当たり的な活動となっていることが大きな要因といえる。1年に1回など定期的に顧客満足度調査を行っているIT部門は多いが、その結果を集計して部内にフィードバックするだけで終わっている例が少なくない。また、組織の活動計画や年度目標に顧客満足度の向上を掲げてはいるが、具体的な施策や活動に落とし込まれておらず、その進捗や成果も確認されないため単なるスローガンに留まっているケースも散見される。