Webサービス事業者に限らず、政府・自治体、公共サービス、民間企業などが、保有するシステムやデータベースのAPIを公開する動きが活発化しており、APIエコノミーが注目を集めている。一般のユーザー企業は公開された外部のAPIを自社システム構築に利用するだけでなく、自らAPIを公開することで新規ビジネスの創造やビジネスモデルの変革を実現できる可能性がある。
APIエコノミーとは、プラットフォームとなるアプリケーションやサービスのAPI(Application Programming Interface)を公開し、他社がこの公開されたAPIを活用して新たなサービスを開発し提供することで、元のプラットフォームやプラットフォーム上の情報の付加価値を高めるような経済活動、またはそれによって形成されたビジネス商圏を指す。
APIの概念は決して目新しいものではない。APIは、あるコンピュータプログラムの機能や管理するデータなどを、外部の他のプログラムから呼び出して利用するための手順やデータ形式などを定めた規約のことである。これ自体は、社内システムの開発などで当たり前のように使われてきた考え方である。
Webの時代になると、Web APIおよびWebサービスAPIとして新たな局面を迎えることになる。2000年にオークションサイトeBay社がAPIを公開、2002年にAmazon社が検索APIを公開、2005年7月にGoogle社およびYahoo!社が自社の地図検索/表示サービスAPIを公開したことなどをきっかけとして、新しい世界観が形成され始めることとなった。当初は、Google社、Twitter社、Yahoo!社、楽天、ぐるなび、リクルートといったWebサービス事業者がAPIを公開し、それらを活用して他のWebサービス事業者が周辺ビジネスを展開したり、複数のWebサービス事業者がサービスやコンテンツを連携することで付加価値を高めたりするという形態が一般的であった。