日本における企業内学習管理システム(LMS)の市場は、毎年10%以上の成長率で伸び続けている。しかしながら日本において、LMSを効果的に活用できている企業は多くはない。一方、グローバル企業では、LMSとSNSを連携させた適材適所を目的とした人事戦略など、活用の仕方にも変化が起きつつある。本稿ではLMSを活用した企業内における今後の教育の在り方について考察する。
日本における学習管理システム(LMS)の市場は2010年以降右肩上がりで伸びており、伸び率は10%を超えている(ITR Market View「人事・人財管理市場2013」)。市場が伸びている要因としては、既存システムのリニューアルやアジア地域などに進出しているグローバル企業での導入が進んでいるためである。今後もこの流れは継続することが予想される。
グローバル企業では、限られた人的資源の有効活用のために、ふさわしい人にふさわしい仕事を与えるという適材適所を目的とした人事戦略のもと、以前からタレントマネジメントに力を入れている。それに伴いLMSの活用の仕方が少しずつ変化してきている。一例をあげると、LMSと社内SNSを連携し、社員スキルが把握できる仕組みを構築することで、「社内でこういうことできる人いない?」と書き込むと、「こんな人がいます」と、誰かが返答するような使われ方が生まれている。しかし、日本ではタレントマネジメントなどを活用した、高度な人事戦略の必要性に対する意識が、ようやく高まってきた状況である。