2013年5月、社会保障・税番号制度(マイナンバー制度)に関連した4法が成立・公布された。実際にマイナンバーの本格利用がスタートするのは2016年1月からであり、当面は行政手続きに限定されるが、同制度に対して民間企業にはどのような備えが必要になるのか。現時点で公にされている情報を基に整理しておきたい。
マイナンバー制度は、国民一人ひとりに対して一意の番号を発行し、番号を納税、社会保障給付の手続きに利用することで、国民の負担と給付を公平に、かつ効率的に行おうという目的で導入されるものである。当面は、社会保障(年金、雇用保険、医療保険、生活保護など)、税(確定申告、その他各種調書の届け出)、災害対策(被災者台帳の整備など)の行政サービスに限って運用されることになっており、民間企業にとって影響はあまり大きくはない。ただし、将来的には幅広い行政サービスへの適用や民間での活用も想定されていることから、企業においても中長期的な対策の方向性を探るうえで、今後の政府の動向には注意を払う必要がある。
現時点において、企業側に義務づけられることが明らかとなっている取り組みとしては、以下の3点があげられる。
①マイナンバーの受付と本人確認への対応
②税・社会保障関連の法定調書へのマイナンバー記載
③マイナンバー情報(特定個人情報)の安全な管理
ここで留意すべきは、上記①~③の対象者となるのは、必ずしも正社員だけには限らないということである。アルバイト社員や派遣社員など、調書発行の必要があるすべての雇用者が対象となるうえ、税務関係調書(源泉徴収書など)にもマイナンバー記載が必要となることから、雇用者以外の報酬支払者(弁護士や会計士、外部講師など)もまた、マイナンバーの受付/管理対象となる。