2014年4月18日に国内でも正式に出荷が開始されたMicrosoft SQL Server 2014(以下、SQL Server 2014)は本格的なインメモリDBの機能を統合し、従来に増して、処理性能と可用性を必要とする大規模システムへの対応を強化している。また一方で、Microsoft社のパブリッククラウドであるMicrosoft Azure(以下、Azure)では他社製品のサポートも開始しており、同社のデータ管理に対する今後の方向性には注意が必要である。
2014年4月18日に国内での正式な出荷が開始されたSQL Server 2014は、インメモリ処理の強化による高速なデータ処理、Azureとの連携強化によるハイブリッドクラウド環境の提供、セルフサービスBI環境の機能強化によるビッグデータの民衆化の3つが主な強化点であると同社は発表している。また、同社はSQL Server 2014をミッションクリティカルな大規模OLTPからビッグデータまでのあらゆるアプリケーションをオンプレミス、パブリッククラウド、ハイブリッドクラウドのいずれの形態でも利用可能にする、企業における総合的なデータ基盤と位置づけている(図1)。
これら3つの強化点の中で、最も注目されているのはインメモリ処理であろう。SAP社のHANAによってその有用性が改めて認知されたことによって、主要なRDBMSベンダーはいずれもインメモリ処理機能を最新バージョンの目玉としている。Microsoft社はExcelのPowerPivotやxVelocity列ストアインデックスなどでインメモリ処理自体の提供は以前から行っていたが、SQL ServerとしてOLTPまでの処理を含んだ本格的なインメモリDB機能の提供は今回が初めてといえる。
ハイブリッドクラウドとしては、Microsoft社のパブリッククラウドサービスであるAzureとの連携が強化されており、SQL Serverのバックアップ機能でオンプレミスと同様な手順でAzureのBLOBストレージにバックアップを取ることが可能となり、またAzure上のVMにデータベースをデプロイしたりレプリカを作成することも可能となった。この結果、Azureを利用した災害対策や柔軟なハードウェアリソースの確保などハイブリッドクラウド環境の構築が可能となっている。