メール/グループウェアのSaaS型製品への移行が活発化している。ITRの市場調査でも、SaaSの売上げはここ3年ほどで大きく拡大していることが明らかとなった。確かに、今日求められているワークスタイルとSaaS型グループウェアとの親和性は高い。だが一方で、IT部門は長期的な視座に立った客観的な評価を怠るべきではない。
従来から、メール/グループウェアに代表されるコラボレーション製品は、クラウド環境(とりわけSaaS)との親和性が高いとされてきた分野である。ITRが過去に実施した調査でも、同分野は業務アプリケーションの中で最もSaaSの利用率が高く、2013年10月の調査では、国内企業におけるSaaSの利用率が「電子メール」で19.5%、「情報共有・ポータル」で15.0%、「スケジュール共有」で14.5%となっている(図1)。
同分野における「クラウドへのシフト」は、2014年に入ってから実施した市場調査の結果からも明らかである。ITRでは、統合型のメール/グループウェアを「コラボレーション・スイート製品」と定義してその出荷金額(売上金額)やベンダー別シェアの推移を調査しているが、同分野におけるSaaS型製品の売上金額は、2012年度は前年度比46%増、2013年度(予測値)は同56%増と大幅な伸びとなった。保守も含めた同市場全体の売上げに占めるSaaSの比率も、2013年度はほぼ30%に達し、パッケージの新規ライセンス売上げと匹敵する規模となる見込みである(図2)。近い将来、両者の関係が逆転するのも間違いないところであろう。