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【R-213111_6962657684】レイヤー化するIaaS市場

作成者: 株式会社アイ・ティ・アール|Oct 1, 2023 4:49:19 AM

エンタープライズITにおけるIaaS活用が今後ますます活発化することが予想されるなか、IaaS市場の構図も変化してきている。ユーザー企業はIaaSの類型とその特性を把握することで、自社情報システムの固有性や要求品質に合致した選択を行うことが求められている。

IaaS市場成長の経緯

国内企業における情報システムの基盤として、IaaSの活用が進んでいる。IaaSを利用する企業の比率は、2010年から2012年にかけて21.8%から32.6%に拡大しており、それらの企業における投資増加の意欲も非常に強い(ITR「IT投資動向調査2011、2013」より)。市場規模の観点からも、ITRの調べでは2010年度に331億円であった国内PaaS/IaaS市場は、2012年度には882億円と著しく成長している(「ITR Market View:クラウド・コンピューティング市場2012」より)。

IaaS市場は、当初、インターネット/エンターテイメント関連のB2Cビジネスにおける構築・運用の需要によって市場が形成された。その後、2010年以降は、一般消費者向けサービスを企業向けに応用する、いわゆるコンシューマライゼーションの流れにより、エンタープライズITにIaaSを活用する機運が高まった。企業におけるWeb系、フロントエンド系のシステムにも適用されるようになり、現在では、基幹システムの基盤としてIaaSを用いる例も珍しくなくなりつつある。システム基盤を都度構築し、保有する旧来の形態を脱し、ビジネススピードを加速させるソリューションとして、IaaSへ寄せられる期待はまだまだ大きい。

こうした動向の背景に、プロバイダーがユーザー需要に注意を払い、機能拡充やサービスレベルの向上に努めてきたことがあるのは事実である。例えば、以前はインターネット接続(あるいはインターネットVPN接続)によるIaaSが一般的であったが、エンタープライズITでの用途を見込んで、現在はほとんどの主要プロバイダーが閉域網接続のサービスを提供している。また、オンプレミス資産を収容するハウジングエリアを構内LANでクラウドエリアに接続するような環境も、ここ2年程で急速に一般化してきている。ネットワーク、運用、セキュリティなどのオプションメニューも多くのプロバイダーが高頻度で拡充・更新している。