日本経済はリーマンショック以降、東日本大震災の影響などにより低迷を続けていたが、安倍政権による「アベノミクス」効果への期待もあり、一部の指標は回復の兆しを示している。こうしたなか、下落を続けていたベンダーのSE単価も、一部で上昇の兆しが見え始めている。本稿では、日銀統計データなどに見られるSE単価変動の実態を紹介し、今後予想されるSE単価の動向について論じる。
リーマンショック後も、国内市場の縮小、東日本大震災の発生、円高などにより、長らく低迷を続けていた日本経済だが、2013年7月1日に日銀が発表した2013年6月短観(日本銀行調査統計局による全国企業短期経済観測調査)によると、「業績判断DI(「良い」-「悪い」社数構成比)」は、大企業非製造業ではプラス6であった前回の調査(2013月3月)よりも6ポイント好転してプラス12に変わり、9月の見込みもプラス12を維持している(図1)。大企業製造業の3月はマイナス8であったが、6月には12ポイント改善しプラス4となり、9月の予測はさらに6ポイント上昇してプラス10となる見込みである。
業種ごとに見ると、大企業では「木材・木製品」がプラス39、「通信」がプラス32と非常に高い好況感を示し、「対事業所サービス」がプラス26、「不動産」がプラス25と続いているが、「電気・ガス」がマイナス18、「造船・重機等」がマイナス14と業種による開きが大きい。しかし、大企業だけで見ると、全産業でプラス8となり、3月の調査のマイナス1よりも9ポイント改善し、9月にはプラス11とさらに改善する見込みである。こうして見ると、国内大企業においては業種によってばらつきは大きいものの、先行きに明るい兆しが見え始めているといえよう。また、2013年6月11日に内閣府および財務省が発表した第37回法人企業景気予測調査結果(2013年7月〜9月見通し)でも、「貴社の景況判断BSI(「上昇」−「下降」社数構成比)」は、大企業製造業でプラス16.6、非製造業でプラス12.7と「上昇」超、中堅企業を見ても、製造業でプラス8.0、非製造業でプラス10.6といずれも「上昇」超を示している。