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【R-213021_6962962798】経営力を支える情報マネジメントの強化

作成者: 株式会社アイ・ティ・アール|Oct 2, 2023 5:50:08 AM

2010年以降、多くの企業ではIT基盤の統合・再構築を非常に重視し実装を進めてきたが、その動向もピークを迎えつつあるかに見える。今後企業が注力すべきは、新たに構築したIT基盤の有効活用であり、今後ますます厳しさを増す経営を支援できるシステムの強化であろう。そのためには、情報に対するマネジメントを、プロセスとデータの両輪で推進するアプローチが有効である。

企業が注力する最新のIT動向に対する懸念

最新の「IT投資動向調査2013」において、IT戦略上の課題テーマをより実践レベルに落とし込んだIT動向について問うたところ、首位が「ITの基盤の統合・再構築」、2位が「ビジネスプロセスの可視化・最適化」となった(ITR Review 2013年1月号「大企業の減速が懸念されるIT投資」 #R-213011)。ビジネスプロセスの可視化・最適化は、2009年の調査時に初登場で2位となって以来、2010年、2011年はやや注力が減少したものの、基本的には企業の支持を大きく落とすことなく2位に復帰した。その一方で、「情報・ナレッジの共有/再利用環境の整備」「全社的なコンテンツ管理インフラの整備」「マスタデータの統合」といった情報やデータに関する施策は、この5年間で注力が低下し続けており、かつ実施率も予想ほど上昇しない傾向が続いている。

換言すれば、ビジネスプロセスに対する注力が大きく伸びたというよりも、情報に関連した施策が、いわば賞味期限切れのように捉えられ、相対的にビジネスプロセスがクローズアップされたと見るのが適切かもしれない。

企業の状況を調査結果からだけ画一的に判断することは避けるべきであるが、情報やデータに関する施策について、ハードルが高いと感じる企業が多いことは読み取れる。例えば、テーマが抽象的で大き過ぎるため具体的な進め方がわからない、ツールやパッケージが高価でROIが得られない、継続的に検討を進める企業文化がないといった難しさがあることは否めない。これに対して、ビジネスプロセスへの傾注は、長年日本企業が競争力の源泉としてきた低コストで高品質を追求するマインドや、昨今の日本企業の競争力低下の傾向に歯止めをかけるべきといった背景が後押ししているようにも見える。しかしながら、ややバランスを欠いた傾注ではないかと危惧する。