生成AIは、技術の進展が著しく、その活用には業務プロセスや組織文化の変革を伴う。したがって、生成AIの導入においては、技術者だけでなく、経営層や業務部門、IT部門のリーダーが、プロジェクトのさまざまな局面で深く関与することが求められる。本稿では、生成AIプロジェクトにおけるリーダーの役割を明らかにするとともに、プロジェクト推進の課題解決に必要な施策と、リーダーが備えるべきマインドセットを考察する。
生成AIを業務で活用している企業の割合は着実に増加している。
ITRが従業員数50人以上の国内企業のIT戦略に関与する役職者を対象に実施した『IT投資動向調査2025』では、「生成AIの業務活用」を実施済みと回答した企業の割合は2024年9月の調査時点で前年の調査から7ポイント上昇して19%となった(図1)。また、次年度(2025年度)末までの着手予定を含めると40%を超えており、多くの企業が生成AIに関心を向けていることがうかがえる。
実施済みが19%という割合はさほど高くないようにも思われるが、従業員1,000人以上の大企業に限れば25%を超えており、活用はかなり進んでいる。また、2023年の時点では情報通信や金融・保険といった特定業種での実施率が先行していたが、2024年には、製造、建設、公共など他業種において活用する動きも活発化した。
こうした結果からも、生成AIが実用的なツールとして認知され、実際に活用が進みつつあることが確認できる。