人材管理システムは人的資本経営のIT基盤として重要性が増しており、すでに多くの企業が導入しているが、その活用状況はどのようなものだろうか。本稿では、ITRが実施した調査結果から人材管理システムの実態を分析するとともに、今後の方向性と人材管理の高度化ステップについて考察する。
ITRは、企業における人材管理システムの活用実態を明らかにする目的で、2024年6月に、人材管理の企画・運営に関与している人を対象に調査を行った。まずは、同調査結果から人材管理システムの導入状況を企業規模(従業員数)別の結果も合わせて見てみよう(図1)。
全体では、4割以上(46%)の企業がすでに導入済みとし、導入が決定している企業(18%)を加えると6割超に上った。また、導入を検討中の企業が23%を占めることから、企業における導入はさらに進むとみられる。従業員規模別では、1,000人を境にその上下で大きな違いがみられる。5,000人以上の企業と1,000~5,000人未満の企業では導入済みと回答した企業が半数に達したのに対して、100~1,000人未満の企業では35%にとどまり、導入が遅れている傾向がみられた。また、100~1,000人未満の企業では、導入を検討していない企業が約2割にも上った。
次に、人材管理システムを「すでに導入済み」の企業を対象に、その利用年数(導入してから経過した利用年数)を確認したところ、全体の約半数(52%)が5年以上であることがわかった(図2)。
従業員規模別の各セグメントでの最多の回答を見ると、5,000人以上の企業では長期の「10年以上」、1,000~5,000人未満の企業では「5~10年未満」、100~1,000人未満の企業では「3~5年未満」となり、企業規模が大きいほど利用期間が長い傾向が示された。