生成AIは2023年の最も重要なIT関連トピックのひとつであり、ChatGPTなどの大規模言語モデル(LLM)を基盤とするサービスが急速に台頭し、多くのビジネスプロセスを変革した。2024年に入り、ハードウェアレベルで生成AIの利用を前提とした設計が行わるようになってきた。「AI PC」「AIスマートフォン」「オンデバイスAI」などの用語も業界内で注目を集め、一部のデバイスはすでに提供が開始されている。企業はDX推進の一環としてこれらのAIデバイスをどのように活用していくべきかの決断を迫られている。
生成AIは、ソフトウェアのレベルでは、すでに企業でのインターネット・コミュニケーションの方法に著しい変化を起こしている。そして、いまやその影響はハードウェアレベルに及んでおり、AIアプリを実行するために設計された次世代の電子デバイス──「AIデバイス」がすでに市場に登場し始めている。本稿では、PC、スマートフォン、ウェアラブルデバイスを対象としたAIデバイスの動向を解説する(図1)。企業が従業員に支給するデバイス、あるいは従業員が個人で所有するデバイスを介して企業アプリを活用することによって、AIデバイスの企業利用が進むとみられる。
このようにAIデバイスの急速な拡大が、企業のDXを加速させると考えらえる。