DXに取り組むことの重要性の認識は高まっているが、まだ成果を得ている企業は少ない。こうしたなか、DXで成功を収めている企業と自社を比較し相違点を把握することが、多くの企業の関心事となっている。本稿では、ITRが実施した『IT投資動向調査2023』の結果を深掘りし、DX推進を加速させるためのポイントを読み解く。
DXの必要性は多くの企業で認識され、さまざまなDXプロジェクトの検討や取り組みは活発化しているが、浸透・定着化までの道のりは平坦なものではない。実際、取り組みを進めてはいても、その成果を実感できている企業は多くない。また、一部で成果が得られた経験を基にDXプロジェクトの範囲を拡大しようとしたが、順調に進んでいない企業も少なくない。その原因としては、DX戦略の全従業員への周知・浸透や、DX推進に向けた社内環境の整備やIT投資が伴ってないことが想定される。
企業のDXテーマにはさまざまなものがあるが、ITRでは「従業員エンパワメント」「オペレーション最適化」「顧客エンゲージメント」「製品・サービスの競争力向上」の4つに分類される16のテーマを設定し、『IT投資動向調査2023』（2022年8～9月実施）のなかで実態調査を行った。本稿では、そのなかから特に成果獲得の進展が見られた4つのDXテーマを取り上げて、IT戦略・施策に対する取り組みや、DX遂行に関連するIT製品・サービスへの投資状況・計画の違いについて見ていくこととする。
なお、今回は2022年に発行したITR Insight 2022年夏号『DXの成果獲得へ向けた戦略施策とIT投資のあり方』（#I-322073）とは異なるDXテーマを取り上げ、最新データからDX成果獲得の要因を探る。