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【I-323012_6962993515】DXの浸透と定着化に向けた道筋と要点

作成者: 株式会社アイ・ティ・アール|Jun 29, 2023 7:26:19 AM
エンタープライズシステムが今後強化すべき機能は何か
鍵となるシステム化方式はどのようなものか
不確実性の時代においてどのような経営基盤を確立すべきか

ITRでは、2025年度までに大企業の50%は、財務情報、非財務情報、および予算・収益情報を一元的に管理できる三位一体のシステム構築に取り組むと予測している。一方で、新たなサステナビリティ要件やビジネスのデジタル化で拡張すべきエンタープライズシステム機能も多く、適切な手法や方式の選択が求められる。

遅々として進まないDX推進の環境整備

出典: ITR『DX成熟度調査』(2022年6月/2021年6月/2020年6月/2019年6月調査)

DXの重要性は多くの企業で認識され、具体的な取り組みは活発化しているものの、その進捗は必ずしも順調とはいえない。多数の実践施策を繰り出しても、本番化まで漕ぎつけられない、全社に広がっていかない、デジタル化を進めても従来のやり方に戻ってしまう、といった声が多く聞かれる。

その原因のひとつに、DXを推進するための社内の環境整備が進んでいないことがあげられる。

ITRでは、従業員1,000人以上の国内企業を対象に、DXの環境整備の成熟度に関する調査を2019年から4年連続で実施している。同調査では、DXに向けた環境整備において重要な企業内変革を意識、組織、制度、権限、人材の5つの分野で整理している。そして、全社的に環境が整備され、社内の誰もが意識することなくDXの実践的な取り組みが実施できる状態をレベル5とし、DXの推進には未着手の状態をレベル0とした、6段階の成熟度モデルを設定している。

最新の2022年6月時点でもレベル4以上(浸透・定着)の企業は2割にとどまり、7割以上の企業がレベル1(初期)からレベル3(部分的整備)の間に位置しており、レベル3とレベル4の間に大きな壁があることが明らかとなっている。また、この4年間の進捗も大きくはない。すなわち、多くの企業がDXへの取り組みを開始しているものの、浸透・定着のレベルに達することができずに足踏みしている状況がうかがえる。企業は、DXを一時的な取り組みとして捉えずに、全社への浸透と定着化を目指して着実に環境整備を進めていくことが求められる。