あらゆる業界において革新的ビジネスや顧客エンゲージメントが求められている。これらの実現には、優れたアプリケーションが重要な役割を担うが、そのようなアプリケーションを迅速かつ柔軟に開発するためには、社内で設計/実装/テスト/デプロイを推進する「内製化」が必須となる。本稿では、内製化の重要性と実現する体制づくりのアプローチや留意点を解説する。
ITRが毎年実施している『IT投資動向調査』の最新結果のなかから、主要なIT動向の重要度指数と現在の実施率および今後の実施率予想を図に示した。企業にとって重要なIT動向として22項目をITRが選定し、これらに対する重要度と実施状況を企業に尋ねた結果である。図中の重要度指数とは、重要度についての回答に重み付けを行い(「高い」5ポイント、「中程度」3ポイント、「低い」1ポイント)、各項目の有効回答数で除した値である。
重要度指数が最も高いのは「全社的なデジタルビジネス戦略の策定」であり、DXに取り組む企業が非常に多いことが見て取れる。次いで重要度指数が高いのは「基幹系システムのクラウド化の実践」であり、クラウド上で基幹系システムを稼働させたい企業が多いことがわかる。
本稿のテーマである「内製」に関連する項目としては、「システム開発の内製化の推進」と「アジャイル開発/DevOpsの推進」であるが、主要なIT動向のなかでは比較的下位に位置していることがわかった。内製化やアジャイル開発/DevOpsは、企業における注目度や実践度は年々向上しているものの、国内企業においては重要度が高いテーマにはまだなっていないといえる。