データマネジメントが対象とする範囲は広く、実現方法も多岐にわたるため、全体像を体系的に理解すると同時に、実現に向けては段階的な取り組みが必要となる。本稿では、データマネジメントを体系化したDMBOK(Data Management Body of Knowledge)の概要と、その最新版で追加されたデータ統合領域を解説するとともに、データマネジメントの高度化ステップについて考察する。
DMBOKでは、データマネジメント全体を11の領域に整理している。そのなかでも、「データガバナンス」はデータマネジメント全体の一貫性を保つためのものとして位置づけられている。各領域の概要は以下の通りである。
データガバナンス:データ管理の計画立案と、実行の監視、徹底
データアーキテクチャ:データニーズの明確化とデータ構造の設計
データモデリング:概念、論理、物理それぞれのデータモデル定義
データストレージとオペレーション:物理的なデータベースの構築と運用管理
データセキュリティ:セキュリティポリシーの定義、実行、認証と権限の付与、アクセス制御と監査
データ統合:アプリケーションや組織間のデータの移動と統合の管理
ドキュメントとコンテンツ管理:ドキュメント情報の取得、保存、アクセス制御
参照データとマスタデータ:共通マスタデータの作成と組織間で共有する仕組みの提供
データウェアハウジングとビジネスインテリジェンス:レポート作成、分析用データの提供のための計画立案、実行と統制
メタデータ:メタデータの収集、統合と標準的なアクセス方法の提供
データ品質:データ品質の標準の設定、データ品質の維持と監視
DMBOKは事実上の標準というだけでなく、DAMA日本支部にはベンダーやユーザー企業に所属する100名以上のデータマネジメントの専門家が会員として参加しており、DMBOKに基づいたデータマネジメント体系が、今後日本においても普及していくと考えられる。