人材不足などの理由から多くの企業ではデータの活用が進んでいるとは言い難い。しかし、AI/機械学習技術を活用することでデータ分析業務の効率化や自動化が実現しつつある。本稿では、AI/機械学習がデータ分析業務と組織に与える影響を整理し、今後のデータ活用戦略がどうあるべきかを考察する。
ITRでは、従業員1,000人以上の国内企業を対象に2018年4月、データ活用とAIに関する意識調査を行った(有効回答:270件)。
調査の中で、データ活用に関して5項目の課題をあげて、どの程度課題として認識しているかを問うた結果、「データ分析を行える人材が不足している」が「まさに当てはまる」との回答が約3割を占めて最も高いという結果となった。
同項目を除く4つの項目では、「まさに当てはまる」と「やや当てはまる」の合計は65%前後であるが、「データ分析を行える人材が不足している」において、これが82%に上った。大多数の企業においてデータ分析人材の不足が深刻な問題になっていることが明らかとなった。このようにデータ分析人材の不足が企業におけるデータ活用を阻害する最大の要因となっているが、労働人口の減少が予想されているこの時代に、短期間に多くのデータ分析人材を採用することは難しいといえよう。
では、現有のスタッフを育成することでデータ分析人材を増やせるかといえば、それも容易なことではない。今後は統計解析スキルを持ったデータ分析人材、いわゆるデータ・サイエンティストが必要とされるため、スキル習得期間はより長期化することが見込まれるためである。
したがって、従来の人事的なアプローチではデータ分析人材の不足を解消することは困難であるため、少人数でも実行できる仕組みや基盤の整備といったデータ分析業務自体の生産性向上を目指す必要があると考える。