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【I-319043_6963032905】デジタルワークフォースの活用シナリオ

作成者: 株式会社アイ・ティ・アール|Sep 27, 2023 7:11:02 AM
クデジタルワークフォースとは何か
ワークフォースの源泉となるAIとRPAはどの程度進展しているか
デジタルの労働力を活用するうえでの留意点は何か

労働人口の減少、人の能力の一部を補完するデジタル技術の進展などを受け、企業は間接業務を中心に「デジタルワークフォース(デジタル労働力)」の本格的な活用を迫られると予想される。本稿では、そのコア技術となるAIとRPAの最新動向を紹介しつつ、これらの技術を新たな労働力として活用する際に考慮すべき点について述べる。

深刻化する労働力事情

今日、国内産業の各所から人手不足の悲鳴が上がっている。日本は、2010年をピークに人口減少期に突入しており、15歳以上65歳未満の生産年齢人口に至っては、1995年から一貫して下降している。この影響は年々深刻化しており、2018年10月に帝国データバンクが実施した調査によれば、「正社員の不足」を訴える企業の割合は52.5%と過去最高を更新した。とりわけ、若い労働力への依存度が高く、現場での人手作業が不可欠となる「運輸・倉庫」「建設」「警備」「小売」といった業種では、平均を大きく超える割合の企業が不足感を示している。

こうした状況のなかで、一部の大企業では、間接部門から直接部門への人員の配置転換によって人員不足をまかなう方針を立てているが、そこにも課題がある。社員個々の適性問題もさることながら、IT化、デジタル化の進展によって業務で使用されるデータの量・種類が増加し、間接業務そのものも肥大化しているからである。それに加え、働き方改革の進展により、長時間労働に対してはこれまで以上に厳しい規制が設けられつつある。

その意味では、今日の労働力不足の問題は、かねて指摘されてきた国内企業のホワイトカラー業務(事務作業)の生産性の低さが、労働人口の減少によって露見したと見ることができる。間接部門の生産性向上とスリム化は、これからの企業経営に必要な人員を確保するうえで極めて重要なテーマになるといえる。