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【I-318103_6962962820】デジタルトランスフォーメーションへの道程

作成者: 株式会社アイ・ティ・アール|Oct 6, 2023 2:54:05 AM
デジタライゼーションの潮流に向けて企業の準備は整っているか
デジタライゼーションの時代にどのような企業像を目指すべきか
デジタルトランスフォーメーションに向けた企業内変革をどのように進めるべきか

あらゆる業界にデジタライゼーションの波が押し寄せる中、企業はさまざまな変革を推進しようとしている。しかし、従来の業務プロセス改革と異なり、文化・風土、組織、制度、権限、人材など企業の根幹にかかわる多岐にわたる変革が求められる。本稿では、デジタルトランスフォーメーシ(DX)の推進に向けた企業内変革の環境整備とその進め方について述べる。

デジタル・ディスラプターの出現

さまざまな業界においてディスラプター(破壊者)が台頭している。特にデジタル技術を武器とするデジタル・ディスラプターは、これまでとまったく異なるビジネスモデルで既存の業界構造や商習慣に風穴を開け、既存の大企業の優位性を大きく揺るがす存在となる。ジェイムズ・マキヴェイ氏は、その著書「DIGITAL DISRUPTION — 破壊的イノベーションの次世代戦略」(実業之日本社、2013年)の中で、デジタル・ディスラプターは、あらゆるところから現れ、デジタル・ツールやデジタル・プラットフォームを活用して顧客を奪い、業界にイノベーションを起こすと述べている。

民泊仲介サイトのAirbnbは2017年8月、全世界での登録物件数が400万件を突破したと発表した。マリオットインターナショナルやヒルトン、インターコンチネンタルといったホテルチェーントップ5の合計総客室数を上回り、世界最大の”ホテル”企業になったことになる。しかし、Airbnbは客室を1つも持っていない。自社では敷地や建物などの資産、フロント業務や清掃のための人員を抱えずにサービスを提供している。デジタル・ディスラプターは、既存企業が長年培ってきた成功体験や伝統・歴史を意味のないものにするだけでなく、これまでの優位性と考えられてきた既存資産、既存事業、従業員を足かせに変えることもあり得る。

また、デジタル・ディスラプターの脅威は、既存企業1社に対するものではなく業界全体や周辺の業界にも影響を及ぼす。Airbnbに代表される宿泊施設のシェアリングエコノミーは、リネンサプライ業者、警備会社、レストラン、食材業者、宿泊予約サービス業者など周辺のさまざまな業界からもビジネスを奪う可能性がある。