2020年をマイルストーンとしつつ、2025年までを視野に入れてシステム刷新を検討する企業が増えてきている。中長期的な労働人口の減少傾向などの社会的環境の変化を踏まえながら、ガラパゴス化しつつあるシステムの総点検を経て、これまで残置してきた課題を解消する未来構想を描いていくべきである。
企業システム全般、すなわちエンタープライズシステムは、今、刷新に向けた大きな節目を迎えている。企業レベルの大規模システムは、時間の経過と共にサイロ化が進みレガシー化していく宿命にあり、定期的に総点検すべき時期を見逃すべきではない。グローバル企業では、M&Aの積み重ねなどで極端にサイロ化し、1企業で400もの経理システムを抱える例もある(ITR Insight 2016年春号「クラウドERPの最新動向」 #I-316042)。
国内ではここまで致命的なサイロ化は見られないが、日本文化ともいえる慎重な合意形成をそのままシステム化しがちなため、複雑で過剰な機能が積み上がりガラパゴス化していることが少なくない。この点は、国産パッケージが、グローバルに進出できない遠因ともいえる。
エンタープライズシステムのクラウド化が進展する一方で、部分導入や個別導入によるシステムの分断や、手作業やExcelによる二重作業を解消し切れていない企業も多い。ERPパッケージなど、エンタープライズレベルのシステムの特性であるフラットなデータ構造によるロバスト性を活かせず、中途半端な導入となっていることもそうした分断や冗長の遠因となっている。ロバスト性については後述する。
中長期的な人口減少や少子化など社会環境の変化や、産業デジタル化のイノベーションに向けて、2020年から2025年までを目処にエンタープライズシステムを見直しつつ未来の構想を検討する企業が増えてきている。