デジタル化の浸透によって企業が手にできるデータは増加する一方であり、データを中心に据えたデジタルマーケティングはもはや避けては通れない。国内企業は、欧米企業ほどデジタルマーケティングで成功しているとは言い難い中、さらなる進展に備えて現状の課題を乗り越えていかなければならない。
デジタルマーケティングとは、広義にはデジタルメディアや技術を活用した製品やサービス、ブランドのプロモーションなどにおけるマーケティング活動全般を指す。具体的にはEメール、Webサイト、Web広告、検索結果などを活用したWebマーケティングが代表的である。また、スマートデバイスの普及により、ユーザーがスマートフォンに費やす時間が急増している。SNS、動画、メッセージングアプリ、GPSを利用した位置情報などのモバイルマーケティングを構成する要素も、デジタルマーケティングの一部である。
デジタルデバイスの主流が、PCからスマートデバイスへと移り、IoT(Internet of Things)の台頭により、さらに多様なデバイスがインターネットに接続されることで、これまで把握することが難しかったさまざまな情報をデジタルデータとして収集できるようになった。一方、国内企業におけるデジタルマーケティングの推進において、施策のROI(投資対効果)が不明瞭な点は大きな課題となっている。そこで、デジタルマーケティングの効果を検証し、最適なマーケティング施策を立案・遂行する上で、各種データの蓄積と分析がより重要視されてきている。
ITRではデータの蓄積と分析を前提としたマーケティング手法に範囲を絞り、「デジタル化されたプロセスとデータを活用し、実証に基づいた判断を行うことによって、マーケティング施策全体を最適化する仕組みや方法」と狭義の定義を定めている。本稿では、主に、狭義のデジタルマーケティングについて述べていくこととする。