グローバルERPベンダーは各社の特色を活かしながらクラウドへのシフトを急速に行っている。クラウドERPベンダーの動向を踏まえ、テクノロジの変革およびデジタル化において、企業がどのようにERPを対応させていくべきかを述べる。
企業は、どのようにERPパッケージの導入を進めてきたのだろうか。ITRでは、2015年4月に、会計、人事・給与、販売、生産管理の主要4業務について、国内企業の698社で意思決定に関与する者を対象に「企業のERP製品に関する意識調査」を実施した。
上図は、主要4業務に関する投資状況を、「導入済み」から「未導入」までの5区分で単一回答を得た結果である。「導入済み」と「導入中(既存システムのアップグレード)」を合算すると、全ての業務分野で7割以上の企業がすでに何らかの製品/サービスを導入しており、「未導入」と回答した企業は、全体平均ではわずか6.8%に過ぎない。会計や人事・給与よりやや低いものの、販売と生産管理でもすでに7割程度であることが判明した。
さらに、「導入済み」と回答した企業に対して、初期導入からの経過年を確認した。各業務分野で異なる製品/サービスを導入している企業もあり、多少バラつきがあるものの、「10年以上前」が4割弱程度、「5年以上~10年未満」が3割弱程度であった。主要4業務では、2010年までに概ね全体の7割弱程度の企業が、何らかのERP製品/サービスを導入済みであったと見てよいだろう。
このように成熟した国内ERP市場であるが、「導入中(新規導入)」が全体平均で10.4%、さらに「導入中(他社製品からのリプレース)」が4.2%ある点は注目される。