インターネットやデジタル化技術を活用した新規のビジネスモデルが数多く台頭しており、デジタルビジネスに商機を見出そうとする動きが活発化している。本稿では、昨今注目されるデジタルビジネスの事例をビジネスモデルのパターンから分類し、新規ビジネスやサービスの創出のアプローチを考察する。
デジタルビジネスとは、デジタルデータによって、人、モノ、コトをつなぐことで新たな価値を提供する事業形態を指している。デジタルデバイスが、PCからスマートデバイスへと移り、IoT技術により機器などのモノがインターネットに接続されることで、これまで扱えていなかったさまざまなモノ・コトをデジタルデータに変換して表現・伝達することが可能となっており、それによって新しいビジネスが生まれている。企業は、これまでのように「製品」や「役務」というかたちで価値を提供していたことに加えて、「データ」や「つながり」あるいは、それらによって得られる「体験」を価値として提供するビジネスを模索している。
ITを活用したビジネスイノベーションへの取り組みとしてデジタルビジネスの創造を検討する企業は多く、「デジタルビジネス推進室」のような組織を設置する動きも見られる。しかし、ビジネスアイデアの創出プロセスやビジネスモデリングの手法は確立しているわけではなく、暗中模索という企業も少なくない。
そこで本稿では、既存事業を保有する一般的な企業(主に大企業)が、昨今注目されているデジタルビジネスを創出するためのさまざまな取り組みや検討のアプローチを紹介する。