ITのコンシューマー化、クラウド化により、企業ITで利用されるデバイス、インフラ環境はここ数年で一気に多様化した。それに伴って管理が難しくなっているのが、デバイスによって日々生成される情報資産(電子ファイル)である。企業は、活用と安全確保の両面から、従業員が日常業務の中で作成・共有する業務ファイルの適正な管理方針を導き、個々のリテラシー向上に努めるべきである。
今日、ビジネスを展開するうえで、デジタル情報はなくてはならないものとなっており、業務の中では日々大量のデータが生成・流通されている。ERPやCRMなど全社的に利用される業務アプリケーションはもとより、個々の従業員のクライアント・アプリケーション、さらにはWebサイト等々、データが生成される手段はさまざまである。また、今後に向けては、センサ技術の進化やあらゆるモノがインターネットと接続される「IoT(Internet of Things)」の実用化などにより、人が直接介在せずに生成されるデータ量も膨大なものになると予想されている。
また、データの種別も、RDBMSに格納される構造化データばかりでなく、ログや画像、音声などを含む非構造化データが爆発的に増えていることが各所で指摘されている。こうした各種データを情報資産として適正に管理していくことは、IT活用の価値を高めるうえで必須の取り組みとなりつつある。
そうしたなかで、決して目新しくはないが、企業にとって重要な課題であり続けているのが、従業員が日常的に作成・共有する業務ファイルの管理である。業務日誌や報告書、議事録などのドキュメント・ファイルがその中心となるが、写真や動画なども含まれる。こうした業務ファイルは、企業にとって貴重な知恵やノウハウの集積物であるが、全社的な管理が難しく、放置されやすい性質がある。
本稿では、以下、こうした業務ファイルを対象に、その管理のあり方について考えてみたい。