経営環境の変化に対応するためにデータ活用の重要性が高まっている。しかし、現実にはデータ活用は進展しておらず、何らかのブレークスルーが求めらている。本稿では最近再度話題となっているデータ仮想化に注目し、その実現可能性と有効性を考える。
グローバル経済の度重なる変化、国内市場の成熟化、大規模災害の発生、消費行動の変容、業界再編やM&Aの加速など、今日、企業経営は過去にない多様な変化にさらされている。
これらに取り組む経営陣には、これまで以上に複雑な意思決定と、対応策の迅速な遂行が求められている。ITに対しても、コスト削減に加えて売上げへの直接的な貢献、安定性に加えて変化への迅速な対応、基幹業務だけでなく、自社の競争優位性を強化するためのコア事業への対応、マスマーケティングから顧客一人ひとりに対応した顧客サービスの向上など、従来以上に要求が高まっている。さらに、IT自体もモバイル、ソーシャルネットワーク、クラウド・コンピューティング、ビッグデータなどのテクノロジが台頭している。したがって、今後のITはビジネス変化に対応するために進化したテクノロジとデータを用いて、これまでの役割を超えて経営や事業の支援を行うことが求められている。しかし、新規事業に向けて新たなシステムを構築する場合や既存のシステムを捨てて、新たなシステムを再構築する場合は良いが、多くの場合は現状のシステムを維持しつつ改良や追加によってビジネス側が求める要求の変化に対応せざるを得ないために、迅速に要求に応えられているとはいえない。