2010年以降、多くの企業ではIT基盤の統合・再構築を非常に重視し実装を進めてきたが、その動向もピークを迎えつつあるかに見える。今後企業が注力すべきは、新たに構築したIT基盤の有効活用であり、今後ますます厳しさを増す経営を支援できるシステムの強化であろう。そのためには、情報に対するマネジメントを、プロセスとデータの両輪で推進するアプローチが有効である。
企業経営は、長引く不況に加えて、国内総生産の伸びの低迷など、多くのプレッシャーにさらされている。部分的な業務改善だけでは、もはやこれからの荒波を乗り越えていくことは難しく、飛躍的な業務効率向上とイノベーションを両立させながら、自らを変革し続けることが将来にわたる企業存続の鍵となってきている。
IT部門は、ITと全社の業務プロセスを知る立場を活かしてイノベーションのけん引役を担うことが期待されており、情報のデジタル化に対応しつつ、グローバルに展開される業務活動に貢献することが強く求められている。そして、デジタル化された情報をどのように活用していくかの前に、そういった情報をどのように管理し統制していくかのガバナンスの課題を解消し、リスクの低減を図る必要もある。さらに、今後グローバルに展開される事業で対応が必要となる各国法令や規制に速やかに対応できなくてはならない。
そのためには、ITを最大限有効活用できる経営が、今後の競争力向上とリスク低減の鍵となり、IT経営が高度化すればするほど、情報資産は今後も増大し続ける。内向きなガバナンスを強化するだけでなく、積極的にマネジメントしていく仕組みづくりや体制の強化、すなわち、情報マネジメントの確立に向けた取り組みが、IT部門にとって極めて重要な時代になってきている。