不安定な世界経済と閉塞感のある国内市場にあって、国内企業には大きな戦略転換が求められている。一方、ソーシャル、モバイル、クラウドといったIT技術の巨大なうねりは、顧客や市場を変容させる潜在力を持っている。企業は、こうした技術の新潮流をビジネス価値に転換し、新たな競争優位性を創造していかなければならない。
国内市場の閉塞感、世界経済の不透明感、急速に台頭する新興国、市場のグローバル化、世界的な人口構造のシフトなどを背景として、多くの国内企業を取り巻くビジネス環境は劇的な変化の渦中にあると同時に、大きな逆風に直面している。もはや従来の戦略の延長線上に成長や成功の鍵は存在せず、これまでの常識や成功体験に囚われていては、これらを掌中に収めることはできない。企業にはこれまでと異なる顧客価値の創造や新たな競争優位性の獲得が急務となっており、あらゆる業種のあらゆる規模の企業において大きな戦略転換が求められている。
多くの経営者は、過酷な価格競争から脱却し、新しい市場や顧客層を開拓するために新たな戦略を強く求めている。そして、そのためには、ビジネス環境の急速な変化への対応、ビジネスプロセスやワークスタイルの抜本的な変革、革新的なビジネスモデルが求められ、ITを活用したビジネスのイノベーションに大きな期待を寄せている。
ITRが毎年実施している「IT投資動向調査」においても、最重要視する戦略テーマに「売上向上への直接的な貢献」が3年連続で首位となっており、IT責任者がこうした経営者の期待に応えたいという思いがうかがえる。