コロナ禍において、企業での研修形態が大きく変化するなか、研修管理の効率化を実現するIT基盤として、学習教材の配信や学習履歴などの管理を行うLMSの導入が進んでいる。本稿では、ITRが実施した企業内研修の実施形態およびLMS導入状況に関する調査結果から現状を分析するとともに、今後の方向性について考察する。
これまで、企業におけるIT機器の調達と配備はIT部門が一手に担ってきた。だが、そこに今、重大な変化が生じつつある。変化をもたらしている要因はすなわち「ITのコンシューマー化(ITコンシューマライゼーション)」である。これは、一般消費者(コンシューマー)に向けて開発・提供された技術やサービスが、企業ITに入り込んできていることを指した用語である。「クラウド・コンピューティング」「ソーシャルメディア(ソーシャル・テクノロジ)」そして本稿のテーマである「スマートデバイス」——これら、昨今IT業界を賑わせているキーワードの多くは、いずれもコンシューマーを起点に拡大したものである。
かつて、最新のテクノロジは最初に軍用や学術研究用、次に企業用へと導入され、最後にダウンサイジングされて一般消費者の手に渡るのが常であった。しかし、現在、コンシューマーITと称されるテクノロジは、従来とは明らかに逆向きの流れになっている。
ITの活用度という視点でも、個人ユースの機会が飛躍的に拡大したことで、企業ユースとの間で逆転現象が起こりつつある。職場環境にもよるが、PCやスマートフォンを操作する時間、メールやメッセージの送受信件数、インターネットの閲覧時間など、あらゆる情報技術の用途を業務用と私用とで分けた場合、私用の割合が業務用を上回っているという人も少なくないのではなかろうか。
企業におけるこれからのIT活用のあり方を考えたとき、「コンシューマーIT」の存在は無視できない要素となっている。